【山岳小説】新田次郎著作 剣岳 <点の記>で読む山岳地図の作り方

 こんにちは。新田次郎氏作の山岳小説である剣岳<点の記>を読みました。せっかく読んだので概要と感想、映画との違いを記事にしようと思います。この小説は、登山小説というより、アナログに地図を作るにはどのくらい大変なのか教えてくれる本です。

1.剣岳 <点の記>のあらすじ

剣岳 <点の記>は、新田次郎氏が執筆した山岳小説です。

 基本的には、大正時代に未踏峰を思われていた剣岳に陸軍の製図担当だった篠崎芳太郎(実在の人物)が登頂する物語です。とは言え、主人公が製図担当なので初登頂も重要ですが、それよりも製図の方の記載が重要視されています。

 実際、サブタイルとになっている点の記も製図するための三角点の設置に関する記録のことです。主人公も実際に剣岳に登るを第1にしながらも周辺の標高を測るなど実直に地図の作成を行っています。このあたりが他の山岳小説とは異なります。

 物語のあらすじをもう少し細かく説明すると以下のような形です 

 【あらすじ】

 大正時代の剣岳は、前人未踏であり宗教的にも登山不可と言われていました。しかし、日本国内の正確な地図を作製するためには剣岳に三角点を設置する必要があります。また当時できたばかりの山岳会が剣岳の登頂を目指すとなったことから、 柴崎芳太郎は 陸軍の上層部から軍の意識をかけて剣岳への三角点を設置するように命じられます。

 柴崎芳太郎は、立山周辺の住民を案内を依頼し、剣岳の登頂を目指します。剣岳の登頂は、登山ルートの調査も難航し、さらに悪天候により命の危険にもされされます。更に山岳会の影も意識しながら必死の思いで剣岳に登頂を目指し進んでゆきます。

2.剣岳 <点の記>の感想

 剣岳 <点の記> は、新田次郎氏の山岳小説の中でもいくつかある登山を目的ではなく、自らの職務を全うするために登山した人達の小説です。

 登山が目的ではなく手段であるため、本作でも剣岳に登るというだけではなく、周辺の地形を測量する描写や組織内の人間関係などもしっかり記載されています。この辺りの描写もじっくり記載されているため、単純な山岳小説とうよりも社会系の小説としても楽しめる内容となっていました。

 じゃあ、登山描写が疎かかといとそうではありません。新田次郎氏自身が実際に足を運んで下調べをしただけあり、描写かなり迫真に迫っています。剣岳を知らなくても剣岳の険しさを実感できる描写となっています。さすがに日本を代表する山岳小説化の本と言えます。

 この 剣岳 <点の記> 全体を考えると、この本はどうしても山岳小説というよりプロジェクトX的な側面が強いなと感じました。主人公自体も登山をしたいのではなく、職務として地図を作りたいわけなのでそうなります。なんというかほかの山岳小説の主人公は、「山バカ」ばかりですが、この主人公はそうではありません。そのため、プロジェクトX的な雰囲気が強くなっており、読んでるこっちも剣岳に登るより地図ができるのか?三角点がおけるのか?を気にする形となります。山岳小説と考えると少し違う要素もありますが、一つの事業(プロジェクト)とそれをとりまく人間関係の小説としてはとても素晴らしいと思いました。

3.剣岳 <点の記>の映画との違い

 おまけですが、映画との違いを少し触れます。

 映画は、全体的に剣岳の登ることが目的のようになっていますが、小説は前述のとおり地図を作ることに力をおいて描写されてます。時間の関係もありますが、このあたりが大きく違うなという印象です。映画では測量してる姿はあまりない印象です。

 また映画では、山岳会がえらくライバルのように描写されていますが、小説ではたまに出てくるくらいであまりライバル感がありません。

 個人的に映画と小説どちらが良いのか?と言われたら、とりあえず映画の方が良いと思います。

 剣岳行ったことない方でも剣岳のビジュアルが伝わるので如何に難しい登山だったのか目で理解することできます。さらに話も登山に絞っているのでわかりやすいです。

 映画を見た後に登山の以外の外郭や心理描写などを踏まえ小説を読むと小説の方がグッと楽しく読めると思います。

(参考リンクーその他新田次郎氏の本)