【山岳小説】新田次郎著 「栄光の岩壁」読んだ

こんにちは。山岳小説の中でも名高い新田次郎作の「栄光の岩壁」を読みました。この本は新田次郎氏の代表作の一つあると言われますが、実際かなり読みごたえがありました。そして、自分の登山者への努力レベルの低さを痛感しました。

1.「栄光の岩壁」とは?

 「栄光の岩壁」は、新田次郎氏の代表作である長編小説です。文庫本だと上下巻です。

 話は、10代半ばに冬の八ヶ岳縦走して凍傷を患い足の一部を失った青年が,不屈の精神で登山を継続して日本を代表するクライマーとなり,日本で初めてのある偉業を成し遂げるまでの物語です。

 この本の主人公は実在の芳野満彦という実在の人物です。Wikipediaにも登録されていますが、読むとネタバレになるので注意してください。

2.読んだ感想

 新田次郎氏の代表作と呼ばれるだけあり,読みごたえは抜群。主人公の人物像から登山の描写までしっかり書かれている。それでいて文章がとても読みやすくスイスイよめる。そして、当然最後は主人公がラスボスとも言える大きな事を成し遂げて終了する。個人的には手本のようなエンタメ小説だなと思った。

 山岳小説という視線で見ると、新田次郎の山岳小説は何を読んでそうであるが、登山趣味者としての自分のレベルの低さを痛感してしまう。さらに努力の足りなさを痛感する。 山岳小説の主人公は並々ならぬ努力をする描写があるが、この本の主人公は凍傷で足の指を失っても努力を続けたのだ。これは物語の中盤あたりですが、相当な努力をしているんだと思う描写が多い

 当然ながらであるが山の厳しさの描写はとても良いし、目に山が浮かぶような丁寧な山の説明がある。これは山岳小説を何冊も書いていて、さらに富士山の山頂で気象観測をしていた経験があるからできる新田次郎氏のオリジナルであると思う。

 実は、この本は、山岳小説という面以外にも、終戦前後の日本社会の雰囲気を知ることができたのが良かったと思う。新田次郎氏は明治生まれであり、終戦の時期は30歳半ばである。この作者がリアルに感じたことが小説に落とし込まれていると想像でき、描写や人間の動きが生々しいものである。この小説を読んで意外だなと思ったのは終戦後すぐに山登りをする人はいたんだなである。終戦前後の登山の歴史はなかなか本や映画でも出てこないのでなんとなく新鮮に思った。やはり当時の人が当時の描写をすると生々しく生活感があり、当時を知れて良いと思える。

 話は変わるが、この小説は中盤で今風に言えばラブコメが入る。なかなか面白い。この辺りは、今も昔も変わらない人が面白いと要素なのだろう。小説全体としては、緊張感のある話が続く中でいい休憩スポットとなっている。

 小説全体としては、冒頭で述べた通り、読みやすく、エンタメ要素もあり、良い小説である。この小説を読みだしてから登山したい症候群が末期症状となってきた。そのくらい良い山岳小説なのでお勧めである。